2013年8月31日土曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.22

本日はまたもや英国の伝統的なミルをご紹介致します。
その名は「Tayler & Lodge」。1883年、英国の一大毛織物産地であるハダースフィールドにて創業しました。

創業以来一貫して、丁寧に時間をかけた高級な服地のみを生産しており、トップクラスのミルとして英国やイタリアのテーラー達の間では非常に評価の高い1社です。

1960年頃まではドブクロス織機という低速で時間と手間を掛けて生地を織り上げて行く古来の織機を使い生産が行われていました。この織機で織ると生地が柔らかく弾力性に富んだ仕上がりになります。ドブクロス織機はそのゆっくりとしたスピードから製品向きではない為、1960年代以降は高速の自動織機に徐々に切り替わっていきました。ただ「Tayler & Lodge」では自動織機を使いながらもそれ以前のクオリティ、風合いに拘るために、スピードを約7割まで落として生地の生産を行っています。

また「Tayler & Lodge」では、工場の近くを流れるホルム川という川の水を使い、出来あがった生地を洗います。この川は軟水で生地を洗う事によって、荒くごわついた生地を柔らかく仕上げています。軟水は羊毛を洗っても柔らかい仕上がりになり、ごわつく事はありません。
仕上げに関してもかなりの拘りを持っており昔ながらのペーパープレス、ロンドンシュランクといった技法を現在も行っています。これらの技法は効率が悪く時間がかかりますが、その仕上がりは生地に独特の艶があり「Taylor & Lodge」ならではの魅力となるのです。


2013年8月27日火曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.21

本日ご紹介させて頂きますのはベルギーのブリュッセルにおいて1938年に創業された世界最大級の生地マーチャントであります「Scabal」社です。

1970年代前半には世界で初めてSuper100'sのスーツ地を世に出し、その後1980年には世界で初めてSuper150'sのスーツ地を生産しています。

自社で織物工場を持たないマーチャントでありながら、イギリスのハダースフィールドにある複数のミル(織物工場)を傘下に持ち、膨大なコレクションを展開しています。中でも歴史が物語る様にSuper100's~200'sまでの細番手ウール、カシミア、シルク、ビキューナといった、いわゆる高級ラインを数多くコレクションしているのが特徴の一つです。

「Scabal」が常にこだわり続けていることは「最高の原材料のみを使用する」ことであり
「原材料のコストは削減しない」こと。
このこだわりが故に、「Scabal」は世界有数の高級紳士服地のサプライヤーとして確固たる地位を築いています。

取り扱う素材はほとんどが英国製で、コットンやリネンなどは比較的イタリア製が多くなっています。
英国製の服地は伝統のペーパープレス仕上げされたスーツ地が多く、独特の鈍い光沢感、ヌメッとしたオイリーな感触を持っています。

そんな「Scabal」のお勧め生地ですが・・・

「Montego Bay」
スキャバル モヘア コレクションの代表作といえるモンテゴベイ。 理想的な弾性と優れたドレープ性、リッチな光沢は他に類を見ない”モヘアの王様”と呼べる服地です。 最高級キッドモヘアの滑らかな手ざわりとSuper100'sウールの素晴らしい着心地をブレンドし、 贅沢の極みを表現したスキャバルの代表作です。

「Champion」
昨シーズンより登場したSuper120s'のコレクションです。英国、ハダースフィールド製で、経糸・横糸ともに2プライヤーンを使用しています。290gと年間を通じて着用できるスーツ地です。光沢があり、適度な耐久性も兼ね備えたデイリーのビジネススーツとして最適な素材に仕上がっております。
全52種類の豊富なデザインも魅力の一つです。

どのクオリティを選んでもバランスが良く、地織のバリエーションが多数揃っているところが「Scabal」らしい一面でもあります。

2013年8月26日月曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.20

本日は厳密には生地メーカーではないですが、英国を代表する生地の一つ、皆様御存知の「Harris Tweed」をご紹介致します。

生地メーカーではないと書きましたが、では「Harris Tweed」とは何なのか?

歴史は18世紀頃まで遡り、スコットランド北西部に浮かぶハリス&ルイス島で誕生したとされています。島で放牧している羊毛の毛を手紡ぎした糸を用いて、島民が手織り織機で織り上げた伝統的なホームスパン地。それを1909年に現地で発足した「ハリスツイード協会」という団体を通じて販売しているのが「Harris Tweed」と呼ばれている生地になります。いわゆる「Harris Tweed」という登録商標と考えると判りやすいかも知れません。同じような形ですとカリブ海に浮かぶ西インド諸島で紡績された高品質な綿素材を「Sea Island Cotton」として商標登録している事例があります。

この「Harris Tweed」ですが、その品質保証の厳格さは別格であり、その品質基準は何と英国国会の制定法で定められています。生産者はその基準を順守しなければハリスツイードの生産に関わる事が許されません。

・スコットランドのある特定の場所で有機飼料だけで飼育された羊から採れた羊毛であること。
・100% 子羊の新毛だけを扱うこと。
・ハリス&ルイス島で紡績されていること。
・羊毛の選別や織る工程も手作業のみで行われること  etc・・・


こういった厳しい基準を100年以上も守り続ける事で英国ツイードのトップブランドの地位を揺るぎないモノにしているのです。

このストーリー性と質実剛健な素材感、ケンピと呼ばれる独特の白い毛が混じる雰囲気は「Harris Tweed」でしか味わえない特別なモノとなっています。

元来最もライトウェイトなグレードでも480gもあった「Harris Tweed」ですが、現在では400g程度と軽めに織り上げた「スーパーファイン」というクオリティのものが流通の主流であり、気軽に羽織りやすくなった点も人気の一つではないでしょうか。


2013年8月25日日曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.19

昨日は英国で創業し英国生地を扱うマーチャント「Harrions of Edinburgh」をご紹介しました。
本日は同じマーチャントでもイタリアで創業し、主に英国生地を扱うという稀有な存在である「Eurotex」社をご紹介致します。


1864年、ローマで創業した歴史あるマーチャントです。先に述べたようにこの「Eurotex」社、イタリア経営なのですが扱う生地の約85%が英国生地というスタンスが面白いところです。イタリア企画のデザインを英国の提携ミルに織らせたコレクションがメインですので、英国の質実剛健な素材感なのですが、ファンシーな色目や、ヴィンテージ風の仕上げ等にイタリア的な艶っぽさが垣間見えます。

もう一つ嬉しいポイントは品切れが非常に少なく、長期に渡って在庫としてストックし続けている事。例えばスーツを作って2シーズン後にスペアパンツのみ、あるいはベストのみを作るといった事が可能なんです。地味な事ですが、イタリアの生地メーカーは大半が1~2シーズン毎にコレクションを入れ替えてしまう為、こういったアフターの対応が出来ない事も多いのです。

スーツ素材、ジャケット素材のバランスも良く、また近年ではシーズン性の高いコットンやリネン、コーデュロイ等にも力を入れています。


個人的におススメのコレクションは・・・

「Monna Lisa」
85% Wool x 15% cashmereのジャケットバンチです。
英国趣味のガンクラブチェックやウインドゥペイン、ヘリンボーンやハウンドトゥース等の無地っぽいものまでバリエーション豊かな全45色が揃っており、チェックやストライプを構成している色目がイタリアのフィルターを通った絶妙さ。さすが「Eurotex」と唸るコレクションに仕上がっています。

「Kingston」
310gという秋冬に適したウーステッドフランネルのバンチです。
伝統的な英国生地の風合いを持ちながら、クラシックを少しだけアレンジした配色が多くモダンな柄が揃っています。英国メーカーにもイタリアメーカーにもない「Eurotex」らしいセンスを感じさせるコレクションとなっています。

2013年8月24日土曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.18

本日も引き続き英国の生地をご紹介させて頂きます。本日は英国を代表する老舗マーチャント(生地商)「Harrisons of Edinburgh」です。

マーチャント(生地商)とは生地問屋の事で、基本的に自社工場を持っていません。様々な工場から自社のコレクションに見合うクオリティ、色柄の反物を買い付けたり、工場に発注して織らせたり(いわゆる別注的なイメージ)して、自社のコレクションとして揃えています。

「Harrisons of Edinburgh」はマーチャントとして1863年に創業し、サヴィルロウのテーラーをはじめとする世界中の有名テーラーで必ずといってよいほど取り扱われているブランドです。
「最上級の原毛のみが最高級の服地を作り上げる」という哲学のもと、英国生地らしいしっかりとした打ち込みで織り上げられた生地の数々は、その扱いやすさと仕立て映えの良さ故にテーラーからの評価も大変高いブランドです。
長年取り扱ってきた私の感想は、とにかくハズレの生地がないブランド。細番手でもしっかりとした打ち込みのおかげで仕立て上がりが綺麗ですし、カシミアのコート地のクオリティも素晴らしい。更に他のブランドではもはや作っていない平織りの300gなんていう古き良き英国の香りがする生地を揃えていたり、フランネルバンチには梳毛(Worsted)、紡毛(Woolen)の両方が盛り込まれているなど、服好きの心を揺さぶるマニアックなコレクションというイメージがあります。

そんな「Harrisons of Edinburgh」のお勧め素材は・・・

「Cru Classe」
厳選されたSuper120'sのオーストラリアン・メリノの原毛にカシミアを1%混ぜたスーツ素材。310gという秋冬に最適なウェイトで、しなやかな生地感、上品な艶はこのブランドを代表する王道的なクオリティ。

「Worsted & Woolen Flannel」
打ち込みのしっかりとした英国製のフランネルはこのブランドの真骨頂です。340gのWostedタイプと400gのWoolenタイプがあり、前者は英国気分を気軽に味わえ、後者は昔ながらの英国紳士といったかっちりとしたスタイルが楽しめます。

「Summer cape kid」
南アフリカ産の良質なモヘア、その中でも総生産量の5%にも満たない貴重なサマーキッドモヘアを
60%使用した贅沢な素材です。モヘアならではの光沢感と通気性の良さ、シワになりにくい特性等を兼ね備えながら、硬すぎないソフトな生地感が魅力です。



2013年8月23日金曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.17

昨日に引き続きまして英国の老舗生地メーカー、本日は「Edwin Woodhouse」をご紹介させて頂きます。


1857年に英国で最も紡績の栄えた町、ハダスフィールドで創業した英国でも屈指のミル(毛織物工場)であり、創業150年を超える老舗であります。

英国の伝統的な手法を守り、クオリティ第一主義を貫きながらもイタリア人のテキスタイルデザイナーを迎え入れるなど、ファッション性にも柔軟な素材開発が行われています。

「Edwin Woodhouse」の生地作りには2つの独自性があります。

1つは原料のクオリティです。通常ミルは紡績工場が生産している糸の中から選び、それをベースに服地を織るのですが、「Edwin Woodhouse」では紡績工場にオリジナルの糸を発注し、その糸をベースに服地を織っているのです。自社の織機、仕上げの工程等に相性の良い素材を作らせる事で、品質を一定に保ち150年以上もの伝統を保っているのです。

もう1つは仕上げの工程です。天然の地下水を使い木製の漕で行う「ウェットフィニッシング」。生地と生地の間に紙を挟み幾重にも重ね、その紙に熱と圧力をかける事で独特の光沢感を出す「ペーパープレス」といった英国伝統の工程を頑なに守り続けています。

個人的には英国の他社メーカーに比べ、少し固めの生地感と鈍い上品な光沢感を備えている生地といった印象を持っています。

代表的な素材ですが、最もおススメなのが1960年代に開発された「AIR WOOL」と呼ばれるフレスコ地に端を発する強撚糸を使ったシリーズです。さらっとしており通気性が良く、シワにもなりにくいこの素材の登場で、「Edwin Woodhouse」の名が世界中に広がることとなったエポックメイキングな素材です。

現在ではこの「AIR WOOL」をベースに混率やウェイトを変える事でバリエーション豊かになっており、様々なシチュエーションでこの伝統的素材を楽しむ事が出来るようになっております。


「AIR WAY」
モヘア混とし、ウェイトを240g まで落とす事で日本の夏場でも着用出来るクオリティとなっています。


「SUMMER COMFORT」
ウール100%でウェイトを240gとしたスーツ素材。「AIR WAY」よりしなやかで豊富な色柄のバリエーションが揃っています。


「SUMMER PANAMA」
上記2つのクオリティが「AIR WOOL」伝統のフレスコ織を踏襲しているのに対し、こちらは通常の平織り素材。Super120'sの細目の原毛を使い、200gという超軽量に仕上げた新しいクオリティです。このブランド得意の強撚糸を用いる事で高番手ながら驚異の耐シワ性、通気性を備えています。


「DIGNITY」
厳選したSuper150'sウール素材にカシミアを2%だけ混ぜるという英国ならではの素材。原毛の良さを引き出すペーパープレスによる鈍い光沢感は格調高い仕上がりに定評があります。ウェイトは260gですので3シーズンお使いいただける最も汎用性の高いウェイトと言えるでしょう。


伝統的な英国調の生地がお好きな方には一番にお勧めしたいメーカーの一つ。特に春夏のスーツ選びには欠かせない存在感のあるメーカーです。

2013年8月22日木曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.16

取り扱いをしております生地メーカーは先日ご紹介させて頂きました通りですが、本日からはメーカーごとの特徴やお勧めのクオリティをご紹介していきたいと思います。

本日は「Dormeuil」について・・・

1842年にジュールズ・ドーメル(Jules Dormeuil)によって創業された創業170周年を誇る世界最古の生地商。

フランスのエスプリ、エレガンスを吹き込み英国の伝統的なファクトリーで織られるコレクションは、創業以来世界の高級服地のトップに君臨し続けています。

その歴史の中で数々の革新的な生地を開発してきた技術力の高さも特筆モノ。
中でも「Sportex」・「Tonic」は登場以来、現在でも独特の魅力があり、服好き達を魅了し続けています。

またウイメンズの生地を手掛けている事も特徴の一つであり、「シャネル」や「イヴ・サンローラン」等のトップメゾンに服地を供給しています。

英国の伝統的なモノ作りを踏襲しながら、革新的な生地、またウイメンズの長れを感じさせるファンシーな色柄、そして妥協なきクオリティへのこだわりが「Dormeuil」の魅力となっています。

スーツ地として現在の主力商品は「AMADEUS」と名付けられたシリーズです。

仕上げの工程で,くし掛けを丹念に施して短い繊維を落とすコームド仕上げを施すことで得た,艶感のある仕上げが特徴のウール100%。280~310g程度のウェイトですので日本では3シーズン、あるいはあまりへヴィでない秋冬生地としてお勧めできる素材となります。
仕立て映えがする腰のある生地、豊富な色柄のバリエーションで全ての方にお勧めできるクオリティです。

もう一つ「Dormeuil」を語るうえではずせないのはやはり「Sportex」そして「Tonic」です。


「Sportex」は1922年に開発された4プライのスポーツ用ジャケット地。耐久性と快適性が当時の上流階級の人々に絶賛され、特にゴルフ用のジャケットとして多くの偉大なゴルファーに愛されてきました。
その独特の生地感からスーツに仕立ててもほのかにスポーティなリラックス感のある雰囲気が漂い、
イタリアのサルトリアでは定番ともいえる生地の一つとなっています。現行の生地は当時よりも軽く(380g)なっており、ヴィンテージの良さと現代の快適性を兼ね備えた素材へと進化しています。

「Tonic」の登場は1957年。現代では当たり前になっているモヘア高混率の服地は、単純なようで高い技術力を必要とし、ドーメル社が「Tonic」を開発するまで実現出来ませんでした。発売と同時に爆発的なセールスを記録し、一躍高級モヘア生地を世に知らしめることになったのでした。
現行品は現代風にアレンジされ、モヘア30%の混率で復刻された「Tonic 2000」。縦糸にウールとモヘアのブレンド糸を使用し、英国製ならではのしっかりとした打ち込みを持ちながら、大幅な軽量化も図られています。春夏シーズンに是非おススメしたい素材の一つです。


このほかにも様々なクオリティの素材がラインナップされており、当店では常時生地バンチを取り揃えております。


2013年8月19日月曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.15

この2週間に渡ってモデル毎の特徴、お選びいただけるデザイン、そしてオーダーならではの体型補正とご紹介させて頂いてきました。

本日からはオーダーメイドの大きな楽しみの一つ、素材選びに関してを数回に渡ってお話させて頂こうと思います。

オーダーメイドの際、当店でお選び頂ける素材はイギリス、イタリアより厳選したメーカーを取り揃えております。春夏秋冬全て含めますとその数およそ5.000種類!とてもじゃないですが、全ての生地を見て選ぶなんて事は難しく、生地選びの際はまずイメージやご予算、お好み、着用頻度などをお伺いさせて頂いた上で、適宜な素材をご提案させて頂くような流れとなります。

取り扱いの生地メーカーをご紹介しますと

Made in England

Dormeuil
Edwin Woodhouse
Eurotex
Harrisons of Edinburgh
Harris Tweed
John Foster
Lear Browne & Dunsford
Porter & Harding
Savile Clifford
Scabal
Tailor & Lodge

etc...


Made in Italy

Ariston
Cacciopolli
Canonico
Carlo Barbera
Drapers
Ermenegildo Zegna
Fintes
Guabello
Loro Piana

etc...


この他、その時期によって私が探し出してきたデッドストックやスペシャルな素材も取り揃えております。


素材選びで難しいのは、小さな生地ブックで見る生地の色柄から実際のイメージが想像し難い事。
少しでもイメージして頂きやすい様に、約100種類程の生地を1着分の反物としてご用意しております。その反物も参考にしながらお選び頂くのも良いかも知れません。

上記に挙げた生地メーカーはそれぞれ様々なタイプの生地を取り揃えているところがほとんど。
その中から理想の1着を探し出す生地選びはお客様には最も楽しい反面、私的には責任重大な作業でもあります。イメージ通りの生地をお探しすべく、日夜膨大な数の生地ブックと睨めっこしております。

明日は、生地メーカーごとの特徴やおススメのクオリティをご紹介させて頂きます。





2013年8月18日日曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.14

昨日に引き続き、「体型補正」のお話。本日はパンツ編です。

当店で展開している3つのモデル全ては、縦横のサイズをお客様のお体に合わせる事だけではなく、
ジャケットと同様に「体型補正」まで可能となっています。

では昨日と同様、箇条書きにてご説明させて頂きます。


1、出尻・平尻
パターンに対してお尻が出っ張っている場合、尻ぐりが食い込んだり、腰回りのフロントが左右に引っ張られ、シワがでる原因となります。反対にお尻が余っている場合、ヒップはもちろんワタリ~ヒザあたりに斜めにシワがでる原因となります。出ている場合も余っている場合もパターンに対して調整する量を見極め、ヒップの長さ調整を行う事で補正します。


2、下腹
お腹周りがすっきりと見えるように、ウエスト~ヒップにかけての前身のバランスを調整します。その際に股上と連動した補正を行う事で、スマートで動きやすいシルエットとなります。


3、送り腰
横から見た際に、腰が前に突き出たような体型。尻ぐりの食い込み、ヒップ下のシワの具合を見ながら、補正量を決めていきます。


4、センタークリース
センタークリース(プレス線)が体型によって外側に開いたり内側に入り込んだりするのを補正します。
サイズゲージをお召し頂いた状態で補正量をお決めします。


5、O脚
ひざからふくらはぎの外側にかけて引っ張られ、股下部分内側にシワが入る事があります。サイズゲージをお召し頂いた状態で、センタークリースの補正と合わせながら細かなパターン補正を行います。


以上の5箇所を採寸時に細かくチェックし、「体型補正」を加えていく事で、フィット感が良くシルエットが綺麗、そして着心地の良いパンツが生まれます。

2013年8月17日土曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.13

昨日に引き続いて本日も「体型補正」についての詳細をお話していこうと思います。

今日はジャケット編です。
当店で展開している6つのモデル全ては、縦横のサイズをお客様のお体に合わせる事だけではなく、
昨日お話した「体型補正」まで可能となっています。

これを文章でご説明するのはなかなか難しいのですが、箇条書きに補正可能な箇所を挙げていく事にします。


1、なで肩・いかり肩
なで肩ですと背中の肩甲骨下やバスト脇下にタスキ状のシワが出やすくなります。いかり肩ですと、首の後ろに横ジワ、ラペルの浮き等が生じやすくなります。その方の体つきを見極め、必要量の補正を行います。


2、肩下がり
左右の肩は水平でない方がほとんどです。そのままですとボタンを掛けた時に斜めにシワが入り、背中一面にも微妙なシワが生じます。左右の差を見極め、肩の高さを揃える補正を行います。


3、前肩
人間の体を真上から見ると、肩の先に向かうに従って前にカーブしています。(ハンガーをイメージして頂くとわかりやすいかと思います。)そのカーブとジャケットの設計上のカーブとのズレを補正します。


4、肩甲骨周り
スポーツをされている方に多いのが左右の肩甲骨の出っ張りです。そのままですと背中に横シワが出ますし、左右の出具合が違う事が多い為、片側だけ生地が余って見えたりします。左右の出具合を見極め、出っ張り分の余裕をパターンで補正します。


5、バスト・ウエスト
バストからウエスト回りの肉付きは人それぞれ異なります。例えばお腹側に肉の付いた人と背中側に肉の付いた人では、同じヌード寸法でも前身と後身のバランスを変える必要があります。そのバランスを見極め、前後のパターンの補正を行います。


6、鳩胸
ボディビル体型の方に多く、フロントバストのボリュームの為、ラペルが開き気味になります。ラペルの長さ調整、場合によってはラペル裏でダーツを取る等して、ラペルが収まるように補正します。


7、屈身・反身
横から見た際に猫背気味(屈身)の方はフロントカットが外側に広がりやすく、後ろ丈が跳ね気味になります。また背幅や肩周りの前側のゆとり、首の後ろのフィッティングに注意する必要があります。反対に直立気味(反身)の方はフロントカットが重なりやすく、前丈が跳ね気味になります。バストや肩周りの後ろ側のゆとり、首から肩にかけての横方向のシワに注意する必要があります。サイズゲージをお召し頂いた状態で、それぞれの補正量を見極め、パターンの補正を行います。


8、首回り
首の太さによってジャケットの襟周りの大きさが小さ過ぎたり大き過ぎたりする事があります。小さ過ぎると上襟周りにシワが入ったり着用感が窮屈になります。大き過ぎると首の後ろが浮き上がったり着用感が重く感じます。サイズゲージをお召し頂いた状態で首回りのフィッティングを見極め、上襟の長さを補正します。


9、腕振り
横から見た時の腕を下ろした姿勢も人それぞれ違います。ジャケットの設計上の角度と合っていないと前、後ろにシワが生じます。ジャケットのアームの角度、太さを微調整して真っ直ぐに落ちるように補正します。


以上の9箇所を採寸時に細かくチェックし、「体型補正」を加えていく事で、フィット感が良くシルエットが綺麗、そして着心地の良いジャケットが生まれます。

明日はパンツの「体型補正」に関してご紹介させて頂きます。

2013年8月16日金曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.12

一昨日、昨日とディテール、言わばオーダーならではの選べるデザインの話をご紹介させて頂きました。

本日はこれもオーダーメイドならではの大きなアドバンテージである「体型補正」のお話をさせて頂きたいと思います。モデル別の細かな補正可能箇所などのご紹介は明日以降としまして、今日は「体型補正」についての私の考え方をご説明させて頂こうと思います。


オーダーメイドの良さって色々あると思います。例えば、「好きな生地が選べる」・「好みのデザインで作れる」・「体型に合わせて作れる」はたまた「出来上がるまでが楽しみ」何ていう方もいらっしゃると思います。そんな中で個人的にはオーダーメイドの最も良い点は「体型に合わせて作れる」という事に尽きると考えています。

この「体型に合わせて」という捉え方ですが・・・ジャケットで言うと着丈や肩幅、ウエストサイズ等、パンツならお尻周りや長さが自分にぴったりと合っている事が「体型に合っている」と思う方もいらっしゃるかも知れません。確かにオーダーメイドですから各部の大きさ、長さ等がぴったり仕上がっているだけで満足感を得られても間違いではありません。

ただ、私が考える「体型に合わせて作れる」というのは上記とは少し次元が違います。

わかりやすい例を挙げてみましょう・・・

身長が同じ、肩幅、3サイズが同じ、体重が同じ二人の男性がいるとします。巷によくあるパターンオーダーの店なら恐らくこの二人のジャケットの着丈と肩幅、ウエストサイズは同じサイズで仕上げるでしょう。そしてそれを着た二人は体にフィットしていると思うはずです。

それはヌード寸に対しておおよそのゆとり量が予め決まっており、その通りの寸法で仕上げるだけの所謂パターンオーダーだからです。こうした縦横の寸法合わせだけで「オーダーメイドです」と看板を掲げているところは星の数ほどありますが・・・

私がこの二人のジャケットを作るとなれば、上がり寸法はもしかすると同じ箇所が出てくるかも知れませんが、肉付きの違いや、姿勢の違いを加味しますので、必然的にバランスの違ったジャケットになります。

人間の体は全て曲線で出来ており、その肉付きは千差万別、更に左右対称ではないので、左右のバランスもお客様一人一人によって全て違ってきます。更になで肩やいかり肩、猫背や反身、肩甲骨やお尻の出っ張り方etc.その方の体型のクセを見抜き、前後左右のバランスを細かく調整していく事が非常に重要な作業となるのです。

簡単に申しますと、採寸時にチェックした体型のクセをパターン上で修正していき(この作業を「体型補正」と言います)、その修正されたパターンを使ってパーツ毎にカットし、その後縫製に移ります。

私の中でオーダーメイドの良さ「体型に合わせて作れる」という意味は、このような「体型補正」が出来る事が大前提だと考えています。

では明日からはロゼストオーダーメイドスーツの「体型補正」についてご紹介させて頂きます。

2013年8月15日木曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.11

先日はジャケットのディテールに関してご紹介をさせて頂きましたので、本日はパンツについての
モデル毎のディテールをご紹介させて頂こうと思います。


まず、「Uno」「Due」の2つのパターンに関しては同じ工房にて製作している為、ご自由に選択可能なディテールの箇所はどちらも同じとなります。「Tre」に関しては別の工房となる為、選択可能なディテールが若干異なる部分がございます。それを踏まえて以下、詳細にご紹介をさせて頂きます。


デザインに関しまして・・・


①タック・・・3モデルともにノータック、ワンタックよりお選び頂けます。ただしタックはアウトプリーツのみとなります。

②サイドポケット・・・縦ポケット・斜めポケット・Lポケット(3モデル共通)
                        デニム型ポケット(Uno・Dueのみ)

③バックポケット・・・左右のフラップの有無、ボタンの有無(3モデル共通)

④ベルトループ・・・任意で本数指定が可能、ベルトレススタイルも可能(3モデル共通)

⑤フロントの持ち出し・・・任意で長さ、先端のデザインの指定が可能(3モデル共通)

⑥ベルト帯後ろのV切り・・・有無の選択が可能(Uno・Dueのみ)

⑦フロントのベルトピンループ・・・有無の選択が可能(Uno・Dueのみ)

⑧ボタンフロント・・・「Uno」「Due」のみ選択可能。「Tre」はジップフロントのみ

⑨パンチェリーナ・・・「Uno」「Due」のみ選択可能。

⑩裾仕上げ・・・シングル・シングルモーニング・ダブル・ダブルモーニング(3モデル共通)


仕様に関しまして・・・


①ライニング・・・ハーフライニング・フルライニング(3モデル共通)

②各ポケットの深さ・・・標準より±3 cmの範囲で深さの調整が可能(Uno・Dueのみ)

③ベルト帯の高さ(ベルト巾)・・・30 mm ・ 35 mm ・ 40 mm より選択可能(各モデル共通)


シルエットに関しまして・・・

①ワタリ幅~スソ幅・・・全てパターン寸法から±3 cm(半寸)以内で自由に設定可能 (3モデル共通)

②股上・・・パターン寸法から±3 cm以内で自由に設定可能(Tre)
       パターン寸法から±3 cm以内で前後別に自由に設定可能(Uno・Due)


以上がご指定頂く標準的なディテールの項目となります。

それ以外の細かなデザイン、ディテールのお好みは出来るだけご希望を反映させて頂きますので
お気軽にご相談頂ければと思います。

また、体型に合わせた各部のアジャストメントに関しましては後日「補正事項」の回で詳しくご紹介をさせて頂きたいと思います。



   


            


2013年8月12日月曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.10

昨日まではパターンオーダー時にベースとしてお選び頂けるジャケット・パンツについてをモデル毎にご紹介してまいりました。

本日はジャケットに関して、ご自由にお選び頂けるディテールをご紹介させて頂きます。



まずジャケットの顔とも言うべき襟に関しまして・・・

①襟幅・・・ベースサイズより ±1.0 cm の範囲で調整が可能です。

②ゴージ位置・・・ベースサイズより ± 1.0 cm の範囲で上下に調整が可能です。(Avernus・Albanoのみ)

③ステッチ・・・シングルステッチ・ダブルステッチ(それぞれ襟端からの位置も指定が可能)

④襟型・・・ノッチドラペル・ピークドラペル・フィッシュマウスラペル



胸ポケットに関しまして・・・

①箱切り・バルカ・パッチポケットより選択可能



腰ポケットに関しまして・・・

①水平ポケット / スラントポケット(それぞれ+チェンジポケットも可)・パッチポケット

②フラップの有無(パッチポケット+フラップも可)

③ステッチ・・・シングルステッチ・ダブルステッチ(それぞれ襟端からの位置も指定が可能)



内ポケットに関しまして・・・

①ペンポケット・シガレットポケットの有無

②ネクタイポケットの有無(Comoのみ)

③ポケットの蓋の有無



ベントに関しまして・・・

①サイドベンツ・センターベント・フックベント・ノーベントより選択可能



ボタンバランス、フロントカットに関しまして・・・

①ボタンバランスの位置指定、2ボタン⇒3ボタン、3ボタン⇒2ボタンへの変更(Avernus・Albano・Garda・Comoのみ可能)

②フロントカットのパターン変更(Avernus・Albano・Garda・Comoのみ可能)



ボタンに関しまして・・・

①水牛ボタン約20種類、コロッツオボタン約30種類、シェルボタン数種類より自由に選択可能。


裏地に関しまして・・・

①無地、柄物合わせまして約200種類より自由に選択可能。



袖口に関しまして・・・

①袖ボタンの数は自由に設定可能。

②本開き(アップチャージなし)・本切羽・切羽なし(それぞれボタン同士の間隔も指定可能)



以上がご指定頂く標準的なディテールの項目となります。

それ以外の細かなデザイン、ディテールのお好みは出来るだけご希望を反映させて頂きますので
お気軽にご相談頂ければと思います。









2013年8月11日日曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.9

本日ご紹介致しますのは、モデル「Tre」


「Uno」「Due」に比較してテーパードの強いシルエットとなっており、プリーツ数の違いによって、股上~ヒップ~ヒザにかけてのサイジングが大きく違ってくるパターンとなっています。

サイズスペック

「Tre One pleats」46 size

ウエスト   80 cm
ヒップ    105.5 cm
ワタリ  34 cm
ヒザ   24.4 cm
スソ   20.9 cm
股上   26 cm

「Tre No pleats」46 size

ウエスト 80 cm
ヒップ  102.5 cm
ワタリ  33.2 cm
ヒザ   23.9 cm
スソ   20.9 cm
股上   24 cm

このモデルもシルエットはお好みに合わせてアジャストが可能ですが、体型補正は「Uno」「Due」程細かく対応が出来ません。フィッティング的に問題がなければその分オーダー価格がリーズナブルなのがこのモデルの利点でもありまして、価格を抑え目にしたい単品パンツのご注文では一番人気のあるベースパターンとなっています。

ポケット周りのデザインやステッチ、ベルトレスへの対応など、お好みのデザイン、シルエットを承る事はこの「Tre」でも十分に可能ですので、履き心地のお好みやご予算に合わせてお選びになられるケースが大半です。

明日はジャケットのお話に戻り、オーダー時にお好みでお選び頂ける様々なデザイン、仕様をご紹介させて頂きます。



2013年8月10日土曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.8

昨日に引き続きパンツについてご紹介させていただこうと思います。

本日ご紹介するのはモデル「Due」です。

「Uno」がどちらかと言えば恰幅の良い方に適したパターンとなっていたのに対し、このモデルは細身の方に的を絞ったパターンと言えます。

シルエットは今のトレンドを程よく取り入れ、すっきりとシャープな見え方にこだわりました。
股上は「Uno」より少し浅くしローライズとなった分、ウエストサイズを少し大き目に設定。
ヒップ~ワタリは運動量を考えゆとりを持たせながら、少し高めに設定されたヒザ位置~スソにかけては細身となっています。

サイズスペック

「Due One pleats」46 size

ウエスト   84 cm
ヒップ    103.5 cm
ワタリ  34 cm
ヒザ   23 cm
スソ   20 cm
股上   24 cm

「Due No pleats」46 size

ウエスト 84 cm
ヒップ  102.5 cm
ワタリ  33.8 cm
ヒザ   23 cm
スソ   20 cm
股上   24 cm

上記をご覧頂ければお判りの通り「Uno」と同様、プリーツの有無に関わらず、ヒザからスソにかけての太さ、股上は同じサイズになっており、1プリーツはノープリーツに比べヒップからワタリにかけての余裕を取ったサイズとなっています。

また「Uno」と同様にシルエットだけではなく、体型補正にもかなり柔軟に対応できる点もこの2モデルの特徴の一つとなっております。

「Uno」と「Due」、似て非なるこの2つのモデル。是非店頭で履き比べて頂ければモデル毎の違いがお判りいただけるかと思います。




2013年8月9日金曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.7

前回まではジャケットについて各モデルのご紹介をさせていただきましたが、本日からはパンツについて詳しくご紹介させていただこうと思います。

パンツのモデルですが、まず大きく3つのモデルに分類されます。

「Uno」
「Due」
「Tre」

この3つのモデルそれぞれにノープリーツ、ワンプリーツがございますので、計6種類のモデルが存在します。ただしジャケットのモデル毎に組み合わせの出来るモデルが下記のように決まっておりますので、その中よりお選び頂く形となります。

「Avernus」「Alvano」「Uno」「Due」
「Garda」「Como」「Tre」
「Orta」「Lugano」⇒ジャケット専用モデルですがセットアップという形でスーツにも対応が可能。
その際には「Uno」「Due」「Tre」の全てよりお選び頂けます。

本日はまずモデル「Uno」についてご紹介をさせて頂こうと思います。

このモデルは当店のお客様に多い40代~50代の体型を考慮し、やや股上が深めでヒップ周り、尻ぐりにゆとりを持たせています。

シルエットは今のトレンドからすると少しゆとりのあるパターンとなっており、どちらかと言えば痩せている方よりは恰幅の良い方に向けたサイジングと言えます。

サイズスペック

「Uno One pleats」46 size

ウエスト   82 cm
ヒップ    104 cm
ワタリ  33.4 cm
ヒザ   24 cm
スソ   21.4 cm
股上   24.4 cm

「Uno No pleats」46 size

ウエスト 82 cm
ヒップ  100 cm
ワタリ  32.7 cm
ヒザ   24 cm
スソ   21.4 cm
股上   24.4 cm

上記をご覧頂ければお判りの通り、プリーツの有無に関わらず、ヒザからスソにかけての太さ、股上は同じサイズになっており、1プリーツはノープリーツに比べヒップからワタリにかけての余裕を取ったサイズとなっています。

もちろんパターンオーダーですからシルエットはお好みに合わせてアジャストが可能。シルエットだけではなく、股上の深さ(前後別)や尻ぐりの出し詰め、センタークリースの逃げ等、体型補正にもかなり柔軟に対応できる点もこのモデルの特徴の一つとなっております。

デザイン面に関して・・・

ポケット⇒縦・斜め・L・ジーンズ型
ウエスト⇒ベルトループ付・ベルトレス
フロント⇒ジップフロント・ボタンフロント・パンチェリーナ

他、ベルトピンループの有無、後ろポケットのボタンの有無etc・・・
かなり細かな部分までお好みを反映したオーダーを承る事が可能となっております。

明日はこの「Uno」を基本としながらも、よりトレンドを加味した細身のモデル「Due」をご紹介させて頂きます。









2013年8月6日火曜日

ロゼストパターンオーダースーツ Vol.6

本日は6つめのモデルにして最も新しく誕生したモデル「Albano」(アルバーノ)をご紹介させて頂きます。


このモデルはここ数年のメンズスーツのトレンド、すなわち短めの着丈、狭めの肩幅、小さく高い位置に設けられたアームホール&細身のアーム、シャープなラインのゴージ周りetc・・・を程よくバランスさせ、ロゼスト流に再解釈した渾身のパターン。


肩パッド、副資材を程よく入れる事で、スッキリと直線的なショルダーラインを形作っていますが、肩先から首の付け根にかけてのノボリが強く出るパターンとする事で、私の好きななで肩気味のラインが出ています。

胸周りはバスト周りのヴォリューム感を重視し
たパターンとなっており、バストから少し高めに設定したウエストポイントまでグラマラスに絞り込まれたシェイプを見せています。

肩周りのスッキリとしたラインとヴォリュームあるバスト~絞り込まれた高めのウエストシェイプによより、視覚的にジャケットのバランスが顔に近くなり、すっきりとスタイル良く見せる効果があります。

イメージ的には「Avernus」の肩周りをすっきりと構築的にし、各部を少しタイト目にリファインした
モダンクラシックな雰囲気の漂うスタイルとでも言えますでしょうか。

ラペルのカッティングも直線的、ゴージラインは高めでかなり起こし気味となっており、「Avernus」では少しカーヴさせていた上襟のラインも「Albano」ではすっきりと直線的なラインで構成しております。


首回りのフィッティングには特にこだわり、写真のように美しいノボリを描く立体的なパターンとなっています。



6回に渡りロゼストオリジナルスーツの6つのモデルをご紹介させて頂きました。

次回からはジャケットと対になる「パンツ」についてモデル毎にご紹介させて頂こうと考えております。



2013年8月5日月曜日

ロゼストパターンオーダースーツ Vol.5

昨日の「Orta」に引き続き、本日もジャケット専用モデルをご紹介させて頂きます。

ロゼストの6つのモデルのうち、最も軽く柔らかなモデル「Lugano」(ルガーノ)です。


このモデルはシャツジャケットに位置づけられるコンストラクションとなっています。すなわち芯地はもちろん、肩パッドや副資材を全く使わず、表地とライニングのみで構築されたシャツと同じ構造を取っています。そのため他のモデルに較べはるかに軽く、折りたたんで携行できる程の柔らかなジャケットになっています。

ここまで芯地等を使わない縫製は今の流行とも言えますが、既製品では体型にフィットしていない部分はシワやたるみ等になりやすくなかなか綺麗なシルエットで着こなす事が難しくなります。
しかしながらこの「Lugano」はもちろん様々なサイズ調整や体型補正が可能ですので、お体にピッタリ合う1着をお作りする事が可能です。

フロントはシングル2ボタンですが、お好みで3ボタンで承る事も可能です。

肩線を後ろに振る事で前から見た際の余分なシワを防ぐ事ができ、芯地なし、肩パッドなしながら、綺麗なショルダーラインを実現しています。

ウール素材との相性はもちろん悪くありませんが、このモデルのコンストラクションを活かすには、夏場ならザックリとしたリネン系、あるいはシャツ地のような薄手のコットン。冬場でしたらツイードや紡毛系の少しヴォリューミーな素材感を持ったものがおススメです。

肩~肩甲骨にかけてと袖のみライニングがついていますので、着用時に生地が引っかかって動きが妨げられる事もなく、快適な着心地をもたらせてくれます。

「Orta」がビジネスシーンまでカバー出来るカッチリ感と備えているのに対して、この「Lugano」はオフシーンやリゾートでその雰囲気を味わって頂きたいモデルと言えます。

明日はロゼスト6モデルの中で最も新しく加わった「Albano」(アルバーノ)をご紹介させて頂きます。



2013年8月4日日曜日

ロゼストパターンオーダースーツ vol.4

本日はジャケット専用のモデルとして開発したモデル「Orta」をご紹介致します。


この「Orta」は年々カジュアル化が進むジャケット市場に合わすべく企画したトレンド性の強いモデル。

サイジングはかなりタイトな設定で、肩幅は他のどのモデルよりも狭め。袖幅も細く、着丈も今のトレンドを踏まえた短めに仕上げています。


短めの着丈に合わせ、フロントボタンのバランスをやや高めにし、スタイリッシュに見せています。


ジャケット専用のモデルという事で柔らかな仕立てにこだわりました。肩パッドはもちろん胸周りの芯地も排し、軽くナチュラルな着心地を実現。柔かな雰囲気を損ねないよう、袖付けは肩の下に袖山を差し込む製法を取り入れています。


フロントラペルは少し丸みを帯びたカッティングとする事で柔らかな曲線を描いています。


ゴージ位置はかなり高めにし、短めの着丈、高めのボタン位置とのバランスと相まって、スタイリッシュでスポーティなシルエットを構築。


アームホールは高めの位置に付けられ、アーム自体も細身で腕の形状に合わせ繊細なカーヴを描いています。「Avernus」ではスーツスタイルをエレガントに見せる為、肘から袖先に向かって少しフレアしたカーヴですが、この「Orta」では肘から袖先までテーパードした形状となっており、ジャケットのスポーティな雰囲気を損なわないカッティングとなっています。

カジュアルなジャケットスタイルには最も相応しいモデルがこの「Orta」
是非店頭でサンプルをご覧くださいませ。



2013年8月3日土曜日

ロゼストパターンオーダースーツ Vol.3

本日ご紹介致しますモデルは「Como」


クールビズに代表される現代のカジュアル化したビジネスシーンや、ゴルフ、リゾートでのジャケットスタイル等、少しリラックスしたシチュエーションを想定して作ったパターンです。


一番の特徴は、肩パッドは勿論、芯地や副資材を極力排したコンストラクションとする事で、素材の風合いを活かした仕上がりとなる事です。特別な柔らかい芯地、そして大見返しと呼ばれる裏地を排した仕立てにこだわって柔かさを追求致しました。

その為、コットンやリネンといった夏素材との相性が良く、また冬場はカシミアと組み合わせる事で柔らかな風合いを引き出し、軽い着心地を生み出します。


袖付けはマニカ・カミーチャと呼ばれるカジュアルなスタイルとしており、ノーネクタイのスーツ、ジャケットスタイルに相応しいエレガントカジュアルな雰囲気を盛り立てます。

このモデル特有のディテールとしてネクタイポケットがございます。


タイドアップの必要がなくなった際、またタイドアップの必要があるかも知れないといった微妙なオケージョンの際、4つ折りにしたネクタイをこのポケットにスルッと収納できるようになっています。



上部のループを折りたたんだネクタイに引っ掛けることで、ネクタイがポケットの下に落ちず、すっきりと目立たなく携行する事ができる仕掛けになっております。もちろん必要のない場合は最初からこのポケットを省略してご注文を承る事も可能でございます。


ラペル周りやポケット周りのステッチは他のモデルに比べてほんの少し目立つピッチ、強めに配しています。これも少しだけカジュアルな雰囲気に見せる為の細かなディテールですが、リネンやコットン素材には非常に効果のある仕上げです。

襟幅は全モデル中、一番太めにデザインされています(サイズ46で9.5cm巾)。カジュアルな中にも大人っぽさ、落ち着いた雰囲気を出すために、敢えてこのバランスに設定致しました。

シングル3ボタンで、ウエストシェイプは少し緩めのDROP 6 に設定してあります。

通常のスーツより少しだけリラックスした雰囲気のスーツをお探しの方、オフタイムのジャケットに最適なパターンです。

2013年8月2日金曜日

ロゼストパターンオーダースーツ Vol.2

昨日に引き続いてオリジナルモデルのご紹介をさせて頂きます。

シャープなラインが特徴の「Garda」(ガルダ)というモデルです。


このモデルは昨日ご紹介させていただいた「Avernus」との差別化を明確にしたもので、すっきりとシャープなシルエットを目指して作られたパターンになります。

「Avernus」がどちらかと言えば南イタリアの丸みの強い服を目指して形作られたのに対して、この「Garda」はミラノスタイルに代表される北イタリアのクラシックに影響を受けて形作られました。



特徴的な一つは適度に肩パッドや副資材を入れ形成されたシャープなショルダーラインと、綺麗にコンケープさせた袖付け部分。特に細めの体型の方や、なで肩気味の方が着ると姿勢が良く見え、がっちりとした風格のある肩~バスト周りの雰囲気を醸し出します。


そしてゴージの位置をかなり高めに設定し、上襟のラインも直線的にデザインしている為、モダンで都会的な雰囲気が出ると同時に、見た目のバランスがやや高くなる事で、すっきりとしたシルエットが強調されています。

バストからウエストにかけてのシェイプはDROP 8 に設定しており、ボリューム感のある肩、バスト周りからウエストにかけての美しいシェイプは「Garda」も特徴の一つです。


フロントはシングルの2ボタン。昨今2ボタンのモデルは襟幅がかなり細目のスーツが多いですが、このモデルではあくまで大人っぽさを追求し、46サイズで襟幅8.7cmと細すぎないサイズに設定しております。

「Avernus」では肘から先を微妙なカーブラインとしていた袖ですが、この「Garda」では一般的な袖のラインとしています。ボディ全体の雰囲気との調和を考えた細かなデザインの仕様違いは私どものオリジナルならではの拘りでもあります。

このモデルはそのシャープなシルエット故、スーツをご注文の際に選ばれる事が大半です。ジャケットにはより適したモデルもご用意しております。明日はカジュアルな雰囲気のスーツ、ジャケットを想定して作ったモデル「Como」をご紹介させて頂きます。


2013年8月1日木曜日

ロゼストパターンオーダースーツVol.1

ロゼスト白金本店のオープン当初より取り扱いしておりますオリジナルスーツのパターンオーダー。
オープン時は1つのモデルしか御座いませんでしたが、今では6つのモデルよりお好みでお選びいただけるまでにバリエーションが広がりました。

そこで今月は今一度当店のパターンオーダースーツを詳細にご紹介していきたいと思います。

①モデル毎の特徴
②採寸に関して
③補正に関して
④取り扱い生地に関して
⑤ディテールに関して

大まかに上記の5つのパートに分け、徹底的にご紹介していきますので是非宜しくお願い致します。

本日は①モデル毎の特徴の第1回目として、累計で最も多く選ばれている人気モデル「Avernus」(アヴェルナス)をご紹介致します。



このモデルは私が数多く袖を通してきた南イタリアのスーツメーカー数社を徹底的に研究し、軽さと着心地の良さを追求し作り上げた渾身のパターンです。


個人的にはジャケットを着た時、なで肩に見える方がかっこよく男の色っぽさが出るという考えですので、肩周りは最小限の芯地のみを配し、肩から首にかけての「ノボリ」が強く出るように設定したモデルです。


したがって袖付けも差し込み袖とし、そこにほんの少しだけ副資材を入れカッチリと見せる事でカジュアルに見え過ぎないように配慮しています。

芯地は柔らかさを出すためにもちろん本バス芯仕立てなのですが、特殊な形に成形したものを使い、肩パッドの役割の一部を持たせる事で、着心地の軽さ、柔らかさが更に際立っています。


ジャケットの顔ともいうべきゴージ位置は過度に高すぎない位置に設定し、そこから伸びる上襟のラインも少し曲線をつけ、エレガントな雰囲気に仕上げています。
フロントはオーソドックスなバランスのシングル3ボタンです。


上襟にも言える事ですが、このモデルは「丸み」「曲線」を出す事にこだわったモデルでもあり、例えば袖のパターンは、肘先で一度絞られ袖口にかけて微妙に広がって微妙な曲線を描いています。

実際にサイズサンプルを羽織ったお客様は皆様まず第一声に「軽い」とおっしゃられる事が多く、その軽さとクラシックで落ち着いた雰囲気からこのモデルをご指定頂くケースが多々ございます。

明日はシャープなラインと若々しいバランスのシングル2ボタンモデル「Garda」をご紹介致します。