2013年8月26日月曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.20

本日は厳密には生地メーカーではないですが、英国を代表する生地の一つ、皆様御存知の「Harris Tweed」をご紹介致します。

生地メーカーではないと書きましたが、では「Harris Tweed」とは何なのか?

歴史は18世紀頃まで遡り、スコットランド北西部に浮かぶハリス&ルイス島で誕生したとされています。島で放牧している羊毛の毛を手紡ぎした糸を用いて、島民が手織り織機で織り上げた伝統的なホームスパン地。それを1909年に現地で発足した「ハリスツイード協会」という団体を通じて販売しているのが「Harris Tweed」と呼ばれている生地になります。いわゆる「Harris Tweed」という登録商標と考えると判りやすいかも知れません。同じような形ですとカリブ海に浮かぶ西インド諸島で紡績された高品質な綿素材を「Sea Island Cotton」として商標登録している事例があります。

この「Harris Tweed」ですが、その品質保証の厳格さは別格であり、その品質基準は何と英国国会の制定法で定められています。生産者はその基準を順守しなければハリスツイードの生産に関わる事が許されません。

・スコットランドのある特定の場所で有機飼料だけで飼育された羊から採れた羊毛であること。
・100% 子羊の新毛だけを扱うこと。
・ハリス&ルイス島で紡績されていること。
・羊毛の選別や織る工程も手作業のみで行われること  etc・・・


こういった厳しい基準を100年以上も守り続ける事で英国ツイードのトップブランドの地位を揺るぎないモノにしているのです。

このストーリー性と質実剛健な素材感、ケンピと呼ばれる独特の白い毛が混じる雰囲気は「Harris Tweed」でしか味わえない特別なモノとなっています。

元来最もライトウェイトなグレードでも480gもあった「Harris Tweed」ですが、現在では400g程度と軽めに織り上げた「スーパーファイン」というクオリティのものが流通の主流であり、気軽に羽織りやすくなった点も人気の一つではないでしょうか。