今週金曜日から日曜日の3日間、受注会を開催いたします「Yusuche Ono」。
フィレンツェ、ナポリと渡り歩き、スーツづくりを学んだ小野 雄介氏の作り出すスーツは、本場のサルトリアでも今やなかなか見られない伝統的な手法を随所に取り入れた拘りの仕立てです。
例えばジャケットの工程で重要な「ハ刺し」。生地と芯地を縫い付ける手間のかかる作業ですが、出来上がったジャケットからは全く見えない部分でもあり、今ではこれをミシンで行うサルトリアもあるようです・・・。
彼の場合はかなり細かなピッチで縫い留めていき、部分部分によってハ刺しの向きや縫いの強弱を付ける事で、着用した際の体の動きに沿って縫い目が伸び、着心地を妨げない工夫がされています。もちろん全て手縫いです。
そしてこれまた重要な襟付け。工場で縫われた服と手縫いの服の一番の違いはここにあるかも知れません。工場ではあらかじめ別に作った襟をボディに縫い留めますが、彼の場合は、最初に芯をボディに取り付け、仮縫い、中縫いで首回りのフィッティングを確かめながら慎重に微妙な修正をかけていきます。
それはジャケットの着心地を決めるうえで、首回りのフィット感はかなり重要になるからです。そうしてカーブした首回りの曲線に合わせ最後に上襟を縫い付けていくのです。
そうする事で柔らかいながらも首にピッタリと沿うジャケットが出来上がります。
また柔らかさを追求する彼のジャケットはなるべくパッドやテープといった副資材を使いません。
それらを各部に使えばボリューム感が出しやすく、シワやツレのない綺麗な仕上げが簡単になりますが、その分硬く、重さを感じる洋服となってしまいます。また経年変化によっては逆に型崩れを起こす原因にもなるのです。
彼の場合はかなり多めのダーツ量とアイロンによる癖取り、イセ込みによってボリューム感と綺麗な仕上げを行っています。
そして極限までピッチの細かい繊細なハンドステッチ、ボタンホール等で少しの装飾性を加える事で、「Yusuche Ono」独特のフォルムと艶っぽさを醸し出しています。
全て彼本人の手縫いで仕上げられた趣味性の高い1着、この機会に是非お試しになられてはいかがでしょうか・・・。